- 本社所在地: 東京都中央区 (塩浜工場: 千葉県市川市)
- 代表取締役: 社長 深澤陽一郎
- 設立: 1947年8月
- 事業内容:
- 医薬品製剤の製造販売
- 各種試薬の製造販売
2022年12月19日インタビュー
聞き手
- インフラウェア株式会社 代表取締役 藤原敏樹、管理部長 齋藤彩
- 一般財団法人日本情報経済社会推進協会 セキュリティマネジメント推進室 佐藤桂史
導入のきっかけは何でしたでしょうか?
藤原:以前は各種書類は紙に印鑑だったと思います。今回、どのような経緯で JCAN証明書を導入されましたでしょうか。
中村様:GMP(Good Manufacturing Practice)という医薬品の製造並びに品質管理を行うための法的要件があり、日本で厚生労働大臣の許認可を受けた医薬品の製造業者は「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(GMP省令)」を遵守する必要があります。国際的には、日米欧による医薬品規制調査国際会議(ICH)で合意された原薬GMPのガイドラインが存在します。また、PIC/S(Pharmaceutical Inspection Convention and Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme: 医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキーム)という医薬品分野における国際的に調和されたGMP基準および査察当局の品質システムの開発・実施・保守を目的とした国際組織にも本邦は加盟しています。
当局を含めたステークホルダーにこれらGMP要件を遵守していることを示すためには、医薬品の製造並びに品質管理に関わる活動を全て文書化(以下、GMP文書)する必要があります。
従来、紙と署名や印鑑で管理していたGMP文書ですが、昨今、GMP文書の完全性と正確性が客観的に担保されている(不適切な取り扱いができない)事を十分に説明できること(以下、データインテグリティ)の重要性が高まっており、特に大手の医薬品メーカーでは多くのコストを掛けて電子化を進めています。一方、弊社規模でも実現可能なローコストな手法を検討した結果、JCAN証明書の導入によりGMP文書の電子化を実現することができました。
藤原:どのような経緯でJCAN証明書ならびに弊社を選択採用されましたでしょうか。
中村様:Acrobat Signを筆頭に様々なデジタル署名・電子契約サービスを比較した結果、デシタル署名の信頼性と導入コストの観点からJCAN証明書およびベンダー様である貴社を選択採用させていただきました。
どのようにお使いでしょうか?
中村様:主な目的は、GMP文書が悪意を持った差し換えや改竄が一切できないことをステークホルダーに示すためのデータインテグリティ確保です。
全てのGMP文書はAcrobat + JCAN証明書で照査・承認等のデシタル署名とタイムスタンプ付与した上でクラウド上の共有ストレージに保管することで、セキュリティーを確保し、面倒なサーバー保守からも解放されました。また、今回のJCAN証明書導入に加え、2022年度の紙媒体による記録類もスキャン+タイムスタンプ付与で保管し直しました。
全職員はPCやタブレットによるリモートアクセスで何時何処でも検索・閲覧が可能となり、GMP文書は書庫に収まったアナログ情報から、製品品質の維持向上に活用する為のデジタルデーターとして機能するようになりました。
佐藤様:GMPに関する記録・書類はすべて電子化可能なのでしょうか?
中村様:はい、本邦では厚生労働省ER/ES指針、例えば米国向け医薬品ではFDA CFR 21 Part11等への準拠が必要となりますが、上記、データインテグリティ確保を説明しきることは従来の紙ベース管理ではもはや困難です。
藤原:電子化はGMP文書だけでしょうか。
中村様:現在、弊社ではGMP文書のみを電子化としていますが、全ての社内文書への拡大を期待しています。
特に感じられたメリットはどのようなことですか?
中村様:GMPへの適合性は社内監査や規制当局による定期査察を受けます。以前使用していた印鑑は手順書に基づき、鍵のかかる個人キャビネットに各自保管する必要があるなど、管理が煩雑でした。また、印鑑は簡単に他人名義のものを入手できるため、特に欧米GMP当局等は予め登録された手書き署名を推奨していましたが、今やデータインテグリティへの適合を満たすものではなくなりました。今回、JCAN証明書を導入することにより、これらの問題を一挙に解決できました。
GMP文書には複数名の署名が必要です。製造業なので基本は出社しますが、例えば署名担当者が工場にいない場合など、承認までに時間が掛かっていました。今回、電子化することで、メール一本の連絡により、リモートからも承認(デジタル署名)できるようになり、特に製品の出荷可否判定などスピードを要するGMP活動が大幅に効率化しました。
今後の課題について、何かあればお聞かせください
中村様:現在のところJCAN証明書保有者をGMP幹部クラス8名としていますが、来春に15名程度に拡大し、さらなる業務効率化を図ります。
また、要件上、GMP文書の保管期間が定められています。2022年以前の文書は紙ベースで保管していますが、保管期間が過ぎた文書は年1回リスト化とともに溶解処理廃棄する煩雑な作業を行っています。数年でこれら作業が無くなるとともに保管スペースを有効活用することができます。
佐藤様・藤原:御社のような業種の同業他社様は、どれくらいありますでしょうか。
中村様:製薬協DATA BOOK 2022によれば、内資、外資を含めて国内の製薬企業は300社ほど、そのうち弊社同規模は約100社となります。
佐藤様・藤原:医薬品製造という分野での文書の電子化についてお話を伺え、大変有意義でした。これからも、JIPDECと共同で業界の電子化に寄与できるよう、サービス、機能の面で進化や情報提供に努力してまいります。
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ありがとうございました。